<ネット上で問題になっている法律問題>

二 ハッキング行為について

 どうも、最近まで誤解していたようなので、ハッキングとクラッキングについて書いておきます。これは、多くの人が区別なく使っています。

 どうやらハッカーとは、ずば抜けたコンピュータ知識をもっていて、中には悪い人もいるけれど、ありとあらゆることに精通している人のことを言うようです。

 一方クラッカーとは、世の中で言う一般的なハッカーの意味のようです。不正にコンピュータに侵入などして、悪事を働く人のことです。知識の有無は関係なしです。悪いことに使えるソフトを深い理解なしに起動して、自動的にほかの人のコンピュータに侵入して、ファイルなどを盗んできたとしても、それは立派なクラッキングです。

 平成11年8月13日に、めでたくも「不正アクセス行為の禁止に関する法律」が制定されました。

 これによって何が規制されるかというと、パスワード入力を要求されるコンピュータに対し、利用権限なく、誰もが利用できる状態にした場合、その行為は、不正アクセス行為となります(同3条)。ただし、パスワードの認証過程のおいて、ホストコンピュータなどでチェックさせるなど、電気通信回線を経由したものでなければならないようです(同条2項1号)。

 あと、そのコンピュータを使うためのパスワードやIDをばらす行為も、不正アクセスを助長される行為として禁止です(4条)。

 近いのがあるとすれば、主にテレホンカードやプリペイドカードの偽造に対処するために作られたものがあります。データを書き換えた人はもちろん、それを使った人も処罰する、という規定になっています。(刑法161条2)

 これは未遂も罰せられます。(刑法161条の2第4項)

 だから、ハッキング行為で考えると、相手のコンピュータに侵入して、電磁的記録(データ)を壊したり、書き換えたりすれば、処罰されるでしょう。実際に相手のコンピュータルームなどに無断ではいれば、不法侵入罪(刑法130条)になります。でも、データをコピーしたとしても書き換えたりしなければ、窃盗にもなりません。

 窃盗とは、「他人の財物を窃取」する行為(刑法235条)です。何が財物なのか、が問題となりますが、情報は、財物とされていません。

 確かに、情報は財物ではないのですが、物理的に管理可能なものは財物にあたります。厳密に書くと、そういう考えの説があります。僕もこの立場をとります。だから、電気や水もまた財物です。コンピュータのデータも、物理的に管理は可能なので、それを盗めば窃盗でしょう。

 しかし、コピーは、盗んでいるようで盗んでいるとは言いがたいでしょう。移動(カットアンドペースト)とコピー(コピーアンドペースト)とを区別して考えています。データ元を消すのと消さないのでは、大違いだからです。

 今まではこのように、ごちゃごちゃと考えなければ罰することが出来なかったのですが、「不正アクセス禁止法」によって、きちんと対処できるようになったのです。


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