賃貸借契約について

 

  賃貸借、という言葉を聞いて、どういうイメージを持つでしょう?
  貸主と借主がいて、借主が貸主に使用・収益の対価を支払う場合です(不動産に限りません)。
  例をあげると、アパートなどの貸し借りなどがあたります。

  書きたいテーマは、アパートなどの賃貸借なので、特に騙されやすそうな部分を書きます。

  「騙される」…?誰に?何を?でしょう。
  管理会社、または大家(つまり、貸主)にです。

 

一 1  更新時

  まず、よくありがちなのが、更新時です。
  普通、アパートなどは、2年などの期間を定めて貸し借りするものです。

  なぜ期間を定めるのか、というと、貸主と借主双方のためです。が、主には貸主のためでしょう。
     期間を定めていないでいると、突然「半年後に、この土地を畑にするからよろしく」と言われた場合、半年後に出て行かざるをえません。期間の定めが無いと、土地については1年、建物は3ヵ月、動産などは1日、の猶予さえ与えれば、いつでも解約の申し入れができるのです(民法617条)。ですが、少なくとも期間を決めていれば、その期間を無視して「出て行け」とはいえません。

  借主からの解約申し入れは、期間に関係なく、いつでもできます。
  一方、貸主からの解約の申し入れには、猶予期間に加え、「正当事由」が必要です(借地借家法28条)。

  「この土地を畑にするから」と言うのは正当事由でしょうか?
  貸主・借主の実際の事情によって変わってはきますが、嫌がらせとは思えない場合は、正当事由といえるでしょう。また、代わりの家屋や、立退き料の支払いは、正当事由になる説得性が出ます(判例に同旨)。

  このように、貸す側としても期間の定めがあると、土地利用の観点から都合がいいのです。

  で、このときに何を「騙される」のか、というと、
  更新料(更新手数料)、というお金が請求されることが結構あります。請求されたら要注意です。
  契約書には、更新についての条文があるはずです。
  どこをどう見ても、更新にかかる費用について書いてない場合は、たとえ請求されても、更新料(更新手数料)を払う義務はありません。契約書に書いてあるからと言って、絶対、という訳でもないんですけどね。

  追い出される?そんなことはありません。こんなボッタクリに近いことなど、正当事由にはなりません。まあ、火災保険等ぐらいは、契約書に書いてなくても、請求されたら払うべきでしょうが。自分のために。

  支払い相手が、「更新料を払わないと、金を受け取らない」と言ってきたら、どうしたらいいでしょう?
  (更新拒絶にも、正当事由が必要なんですけどね)

  この場合は、「供託所」という場所に、その払うべきお金を預けてください。

  するとこの場合の更新は、貸主に「更新しない」という通知をしていないので「法定更新」となります(借地借家法26条1項)。黙っていれば、法定更新になるのです。
  法定更新とは、期間の定めがなくなること以外は、以前の契約条件のままで更新することをいいます。

  たとえ法定更新に切り替わっても、貸主からの解約には、正当事由が必要です。ご安心を。

  「契約書に書いてあるから絶対、という訳でもない」、とさっき書きましたが、たとえば「賃料を2カ月滞納した場合、自動的に契約は解除される」と契約書にあったとします。このように、催告も解除の意思表示も不要、という記述の有効性は疑わしい、とされています。また、2〜3ヶ月の家賃滞納では、契約解除の正当事由にもならないのが実際です(半年の滞納は微妙ですね)。

  更新料について、契約書に書いてある場合は、支払ったほうがいいかもしれません。

 

  2  あとは、更新に伴う家賃の値上げ。

  これは、契約書に書いてない場合がたいていだと思うので、法廷更新にしたほうがいいでしょう。何で約束もしていないのに、更新するたびに家賃を高く払う必要があるのでしょう?わかりません。さっきも書いた通り、黙っていれば自動的に法定更新になります。以前の家賃のままで生活できます。

  まぁ、管理会社はきちんと管理してくれているから、契約書に書いてなくても払ってあげる、と言うのであれば、止めはしません。

  ただ、いわれのない金を払いたくない、って言う俺みたいな人には上記の方法があるよ、と言うことです。

 

二  続いて、敷金の返還について。

  敷金を支払っていない場合には、無関係です。たいていは、入居時に支払っているはずですが。

  アパートなどを引き払うとき、出て行く人に返還されるのが原則です。
  もし、入居時に支払った金額より少なく戻ってきた場合は、絶対に明細書をもらいましょう。

  不審な点があれば、すぐに文句を言いましょう。長期間ほっとくと、請求権が消えます(時効)。

 

 

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