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<逮捕されてしまったら?>

 まず、お金を持っていようといまいとたとえ現行犯逮捕でも、「弁護士を呼んでください」と頼みましょう。自分で呼ぶ場合も、弁護士や弁護士事務所を知っている必要はありません。その地域の弁護士会に電話すればいいのです。値段の相談は、実際に会ってから相談しても遅くはないはずです。報酬規定が決まっているとはいえ、弁護士だって鬼ではないでしょう。いろいろ考えてくれるはずです。

 余談ですが、常識的に警察が捜査に乗り出してくれそうなはずなのに、あれこれと理屈をつけて操作を開始してくれないときも、弁護士会館や弁護士事務所に言って相談してみることをお勧めします。ちなみに、相談料は30分5000円ですが、2万円用意しておけば、2時間以上相談してもそれ以上はとられません。確か、弁護士報酬規定でそうなっているはず。

 弁護士に払う金は用意できない、と言う人は、国選弁護人がつくことになるのですが、被疑者段階では国選弁護人はつきません。つまり、起訴されるまでは弁護士がいないのです。起訴される前に調書は取られますので、弁護士をつけていればよかったのに、ということにもなりかねません。

 逮捕中に弁護士を要求し、つけたからといって、裁判で不利になることはありません。これは、成年裁判・少年審判のどっちでも同じです。たまに誤解する人がいるらしいのですが、誰に何を言われようと、間違いなく不利にはなりません。むしろ呼ばないほうが危険です。プロと対等にやりあうには、プロの助けが必要です。だから弁護士を要求できるのです。逮捕されている間は、警察はあなたの敵です。あなたを護るのは、あなたの意思と、弁護士のアドバイスだけです。

 多くの人は警察に対して好意的な感情を持っており、逮捕されたとしても、聞かれた質問には一生懸命答えようとするようです。

 しかし、弁護士との相談なく、色々しゃべるのは賢くありません。捜査員は、あなたのことを疑っているのです。そして、彼らは捜査のプロです。彼らの望む話だけを取り出して、彼らの都合のよい調書を作ることさえできるのです。

 やってしまったことについては、素直に認めたほうが利口なようです。この場合の黙秘は、裁判官に悪い印象を与えてしまいます。変な話だとは思うのですが。

 また間違っても、裁判になってから「警察での証言は違います」と言えばいい、なんて考えないでください。ドラマのように、それを覆すのは、現実にはかなり困難です。

 でも、やってもいない嫌疑がかかってしまった場合は、黙秘しましょう。これは権利であり、わがままとかではありません。しかし実際は、黙秘すると警察署から出してもらえないので、会社にばれることになるのを恐れ、色々しゃべってしまうのです。逮捕された時点で、社会的には「犯人」扱いされる、今の社会の問題と言えます。

 2日程度なら、病気だったとして隠せますが、1週間ぐらいになるとそうはいきません。黙秘によって、自分を保護できるはずなのに、社会的には最悪な扱いを受けてしまうのです。

 やってないんだから、別に何をしゃべってもいいのでは?と思う人がいるでしょう。しかし上に書いたとおり、彼らは捜査のプロです。彼らの望む話だけを取り出して、彼らの都合のよい調書を作ることさえできるのです。言い過ぎかもしれませんが。熱心に捜査されると、十分に起こりうることです。

 その調書ですが、「この調書は君の言った事を書いてあるだけから、サインして」というようなことを言われます。もしその調書の内容に疑問があるのなら、絶対にサインしないでください。サインをする必要は別にないのですから。嫌なら、嫌だ、と言えるのです。サインしたら絶対に覆せない、ぐらいに思っておいてください。自分は騙されやすい、と思う人や、絶対に騙されない、と思う人は、サインしないほうがいいでしょう。(書き間違いじゃあないですよ)

 僕が思うに、警察にいろいろ聞かれた場合、初対面の人に話す程度の内容は話すべきだと思います。たとえば名前や職業などです。言うと自分が不利になりそうだ、とはじめからわかっていることは、言わなくていいです。それが黙秘権です。

 何かの事情で、名前さえも不利な材料になってしまう人もいるかもしれません。そういう場合は、別に言わなくてもいいのですが、担当の弁護士になろうとする人が来た場合は、しょうがないので名乗りましょう。名乗るというか、弁護士から差し入れられる書類に名前を書かないと、その人は、あなたの弁護士としての扱いを受けられないのです。つまり、あなたと一対一で会って、話を聞くことができないのです。

 弁護士とは、警察官の監視のない状態(一対一)で会うことができます。捜査する側には、うれしくないことでしょうが、ルールです。弁護士には、素直にすべて話したほうが得策と言えます。そうじゃないと、まともな弁護は困難でしょう。

 


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